「透析治療を受けていると障害者手帳をもらえる?」「どんな支援が受けられる?」という方のため、該当する可能性のある等級や、手帳を持つと利用できる医療費助成などを解説します。

透析は腎臓機能が著しく低下した際、人工的に血液をきれいにするための治療法です。

透析治療が必要な場合、身体障害者福祉法の「肢体不自由」「内部障害」などの項目で定められている障害等級に該当する場合があります。具体的には腎臓の機能障害として等級が判定され、障害者手帳の交付対象となる可能性があります。

本記事では障害者手帳の取得方法や、その他の制度も解説するので、ぜひ最後までお読みください。

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透析治療で障害者手帳は交付してもらえる?何級?

血液透析・腹膜透析のいずれの場合でも、透析治療を受けていると身体障害者手帳の交付対象となります。障害者手帳における腎臓機能障害の等級は、機能障害の程度によって異なります。

腎臓の機能が著しく低下し、人工的に老廃物や水分を取り除く必要が生じるため、日常生活への支障が大きいと判断され、重い等級である1級や2級に認定されるケースが多いです。ただし腎移植後に腎機能が安定している場合など、例外的に等級が変動する可能性もあります。

状況等級の目安
週複数回の透析が必要な場合など原則として1級
腎移植後で機能が回復した場合2級・3級の可能性あり

正確な等級判定には、主治医の診断書に基づいた審査が必要です。

医療費の助成について

人工透析を受けている方が身体障害者手帳(原則1級)を取得すると医療費助成の対象となり、健康保険適用後の自己負担額が無料となる可能性があります。

助成の対象範囲

  • 人工透析に関連する医療費
  • 人工透析以外の病気やけがによる医療費(風邪など)
  • 医師の処方による薬代
  • 車椅子・義肢・装具などの福祉機器

注意点

  • 医療費助成は、国ではなく各地方自治体がしている
  • 自治体によっては、年齢制限や所得制限が設けられている場合がある
  • 居住区域を管轄する市区町村によって制度内容が異なるため、事前確認が必要

医療費助成の対象になるかどうかなどの詳細は、住民票のある自治体の窓口(障害福祉課など)に相談できます。

障害者手帳があると受けられる医療費助成以外の支援・サービス

障害者手帳を取得すると医療費助成以外にも、以下のような支援やサービスを受けられる可能性があります。

  • 税金の免税
  • 駐車・交通機関での割引
  • 携帯電話基本料金の割引
  • NHK放送受信料の減免

次の項目から、上記4つの「障害者手帳があると受けられる支援・サービス」を解説します。

税金の免税

身体障害者手帳があると以下のような税金が優遇されることがあり、経済的な負担を軽減できる可能性があります。

税金の種類内容
所得税・住民税障害者控除として一定額が課税所得から引かれる
相続税・贈与税相続人や受贈者が障害者の場合、税額が控除される可能性あり
自動車税・軽自動車税自動車税・軽自動車税
障害のある方が使うなど、一定の要件を満たすと減免される
利子所得の非課税制度マル優(※1)・特別マル優(※2)があり要件を満たすと、それぞれの元本の額が350万円までの利子などが非課税となる

(※1)障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度
(※2)障害者等の少額公債の利子の非課税制度

上記の制度を利用する際は、税務署や市区町村役場での手続きが必要です。控除額や減免の要件は、障害の等級やその他の状況によって異なるので、詳細は居住区域を管轄する市区町村の税務担当窓口や税務署に確認しましょう。

駐車・交通機関での割引

身体障害者手帳を持っていると、透析治療のための通院など、移動に関するさまざまな割引制度を利用できます。

交通機関割引内容
JR本人単独または介護者同伴で、一定の条件(100キロ以上など)を満たすと運賃が割引される
タクシー1割引きで利用可能
自治体によっては福祉タクシー利用券の助成制度がある
有料道路身体障害者の方が自ら運転する場合や、介護者が運転する場合に、料金が50%割引される
ETCを利用する場合も、事前手続が必要
航空国内線の普通大人片道運賃が約30~40%割引される
第1種身体障害者の場合は介護者1名も割引対象

これらの割引は、透析治療に伴う通院負担を軽減するために役立ちます。また、「駐車禁止除外指定車」の標章を申請すると、駐車禁止区域(一部例外あり)に駐車できる場合があります。

利用方法や割引率はサービス提供事業者や自治体によって異なるため、詳細は各窓口に確認しましょう。

携帯電話基本料金の割引

身体障害者手帳を持っていると、携帯電話の基本料金割引サービスを利用できる場合があります。割引の内容や対象条件は携帯電話会社によって異なるため、詳細は、携帯電話会社への問い合わせや、各社の公式サイトで確認しましょう。

NHK放送受信料の減免

身体障害者手帳を持っていると、NHK放送受信料の減免を受けられることがあります。

減免の種類対象条件
全額免除身体障害者手帳保持者がいる世帯で、かつ世帯全員が市町村民税非課税
半額免除世帯主が身体障害者手帳の交付を受けていて、身体障害の程度が重度(1級または2級)など

NHK放送受信料の減免手続きをする際は、まず居住区域を管轄する市区町村の福祉担当窓口に身体障害者手帳の交付申請をした後、その証明書をNHKに提出しましょう。

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障害者手帳を取得するための手続きや必要書類

透析治療を受けている方が障害者手帳を申請する場合の窓口は、居住区域を管轄する市区町村の福祉担当です。主な必要書類は以下の表にまとめました。

書類名備考
身体障害者手帳交付申請書自治体の窓口やウェブサイトで入手可能
医師の診断書透析を担当している主治医に作成を依頼する
同意書自治体によって書類が異なる可能性あり
顔写真サイズ・枚数は自治体によって異なる
個人番号(マイナンバー)に関する書類マイナンバーカードなどが必要
本人確認書類運転免許証・健康保険証などが必要

書類提出後、自治体による審査を経て、障害等級が決定・通知されます。手帳交付までには数週間から数ヶ月かかる場合があります。手続きの詳細は自治体ごとに異なるため、事前に窓口に確認することをおすすめします。

透析治療で障害者手帳以外に使える可能性がある制度

透析治療を受けていると障害者手帳以外にも、以下の制度を利用できる可能性があります。

  • 障害年金
  • 生活保護
  • 自立支援医療制度
  • 特定疾病療養費助成

次の項目から上記4点を解説するので、利用できる制度があるかどうかなどをご確認ください。

障害年金

透析治療を受けている方は、障害年金を受給できる可能性があります。障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に支障が出ている方が受け取れる年金制度で、どの年金に加入しているかで名称が異なります。

加入先対象の年金
国民年金障害基礎年金
厚生年金障害厚生年金

障害年金を受給するためには「一定の保険料を納めている」「障害認定日に所定の障害状態にある」などの要件を満たす必要があります。「自分の場合は障害年金を受給できる?」「具体的な手続き方法は?」などが気になった方は、居住区域を管轄する市区町村の役場や年金事務所に確認してみましょう。

生活保護

透析治療を受けている方で、経済的に困窮されている場合、生活保護制度を利用できる可能性があります。生活保護は、国が定める最低限度の生活を保障する公的な制度です。

生活保護が認められると生活費・住宅費などの他、医療費の扶助も受けられます。透析治療にかかる医療費は高額になることがありますが、生活保護の医療扶助により、自己負担なく治療を受けられる場合があります。

生活保護制度の利用には資産や収入などの要件を満たす必要があり、該当するかどうかは、居住区域を管轄する地域の福祉事務所に相談できます。

自立支援医療制度

自立支援医療制度は、心身の障害がある方が、その障害を除去・軽減するための医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。透析治療は自立支援医療制度の「更生医療」に該当し、透析治療にかかる医療費の自己負担額が原則として1割に軽減されます。また所得に応じた「ひと月あたりの自己負担上限額」があるため、医療費の負担をさらに抑えることができます。

自立支援医療(更生医療)の対象疾病は、以下の通りです。

  • 肢体不自由によるもの
  • 視覚障害によるもの
  • 聴覚、平衡機能障害によるもの
  • 音声機能・言語機能・そしゃく機能障害によるもの
  • 内部障害によるもの※
    ※心臓機能障害・腎臓機能障害・呼吸器機能障害など

腎臓機能障害は上記の内部障害に含まれ、透析治療を受けている方は対象となります。申請窓口は、居住区域を管轄する市区町村の障害福祉担当です。

特定疾病療養費助成

透析治療を受けている方が利用できる可能性のある制度として、「特定疾病療養費助成制度」があります。これは、厚生労働大臣が定める特定の疾病(特定疾病)にかかっている方の医療費負担を軽減する制度です。

人工透析が必要な慢性腎不全は特定疾病に指定されており、同制度を利用すると、医療機関の窓口で支払う自己負担額が軽減されます。

対象疾病自己負担限度額(月額)
人工透析が必要な慢性腎不全1万円(※)

※一定以上の所得がある70歳未満の方は2万円

特定疾病療養費助成は高額療養費制度とは別に適用されるため、両制度を併用すれば医療費の負担をより大きく軽減できます。特定疾病療養費助成を受けるためには、健康保険組合などに申請し、「特定疾病療養受療証」の交付を受ける必要があります。

まとめ

透析治療を受けていると障害者手帳の等級は、多くの場合1級か2級となります。障害者手帳を取得すると医療費助成だけでなく、税金・NHK放送受信料などの減免や交通費の割引などを受けられる可能性があるので、申請することをおすすめします。

また障害年金・生活保護・自立支援医療制度・特定疾病療養費助成なども、経済的な負担軽減や生活の安定につながる可能性があるので、状況にあわせて各種制度の利用も検討しましょう。

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