監修医

戸田中央総合病院 腎センター長 兼 腎臓内科部長 井野 純

腎臓の機能が低下し、治療法を検討するとき「透析を始めたら、あとどれくらい生きられるのだろうか」と不安になる方は少なくありません。そこで本記事では「透析が寿命にどのような影響を与えるのか」「より長く、より健康に生活するために何ができるのか」を把握するために役立つ、以下の情報を解説します。

  1. 透析の基本的な仕組みと種類
  2. 透析が寿命に与える具体的な影響(平均余命、生存率など)
  3. 透析以外の治療選択肢
  4. 透析患者さんが日々の生活で実践できる長生きの秘訣
  5. 腎不全の基礎知識(原因、症状、進行)
  6. 透析に関連する合併症とその予防法

透析の基本的な知識から、透析以外の選択肢や透析患者さんの寿命、そして合併症やその予防法などをお伝えするので、自身の病気や治療について理解を深め、今後の生活について考えるためにお役立てください。

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そもそも透析とは

腎臓の機能が低下した際に、その働きを人工的に補う治療法が透析です。私たちの体には、血液中の老廃物や余分な水分をろ過し、尿として体外に排出する「腎臓」という臓器があります。

しかし様々な病気によって腎臓の機能が著しく低下し、その働きが失われてしまうことがあります。このような状態を「末期腎不全」と呼びます。末期腎不全になると、体内に老廃物や水分が溜まり、命に関わる状態になります。

そこで必要となるのが、腎臓の働きを人工的に代行する「腎臓代替療法」であり、その代表的な治療法が透析です。透析は血液透析・腹膜透析の2種類に分けられます。

方法血液を人工腎臓(ダイアライザー)に送り、血液を浄化 (老廃物・水分を除去) する
実施場所主に医療機関
頻度・時間週3回、1回あたり4時間程度
必要な事前の処置シャント手術
特徴・利点効率的な老廃物・水分除去
注意点・欠点通院が必要、食事・飲水制限、シャント管理
区分血液透析腹膜透析
方法血液を人工腎臓(ダイアライザー)に送り、血液を浄化 (老廃物・水分を除去) する腹膜をフィルターとして利用し、透析液を腹腔に貯留することで老廃物・水分を除去する
実施場所主に医療機関自宅、職場など
頻度・時間週3回、1回あたり4時間程度ライフスタイルと治療の必要性に合わせた治療メニュー(CAPD、APDなど)
必要な事前の処置シャント手術カテーテル留置手術
特徴・利点効率的な老廃物・水分除去自分あるいは介護者で実施可能、ライフスタイルの自由度が高い
注意点・欠点通院が必要、食事・飲水制限、シャント管理腹膜炎のリスク、タンパク質の喪失

どちらの透析方法を選択するかは、患者さんの全身状態・年齢・ライフスタイル・医療機関の体制などを考慮し、医師と相談の上で決定されます。透析は失われた腎臓の機能を完全に回復させるものではありませんが、体内の環境を整え、命を維持するために不可欠な治療法です。

透析と寿命の関係

透析が導入される以前は、末期腎不全になると数週間から数ヶ月で命を落とすことがほとんどでした。しかし透析医療の進歩により、多くの患者さんが数年から数十年単位で生存できるようになっています。

日本の透析患者さんの平均余命は、透析を開始した年齢や合併症の有無などによって異なります。一般的に透析を開始した後の平均余命は、健常な方と比較すると短い傾向にあります。

しかしこれは透析そのものが寿命を縮めるのではなく、腎不全に至る元の病気や、透析に関連して起こりやすい合併症が影響しているためと考えられます。

透析導入時期や年齢によって異なりますが、透析患者さんの10年生存率は40%前後とされています。これは、健常な方の生存率と比較すると低い数字ですが、透析がなければ生存が不可能であったことを考えると、透析医療がいかに多くの命を救っているかがわかります。

年齢別の余命については、若い年齢で透析を開始した方が、高齢で開始した方よりも長い傾向にあります。しかし80代で透析を開始した場合でも、数年間生存される方は少なくありません。具体的な余命については状況によって異なるため、主治医とよく相談し、自身の状態に基づいた情報を得ましょう。

透析以外の選択肢

腎臓の機能が低下した場合、透析以外にも以下の選択肢があります。

  • 透析以外の腎臓代替療法の選択肢
  • 透析を忌避する選択

ここからは上記2つの選択肢について、解説します。

透析以外の腎代替療法の選択肢

末期腎不全に対する腎臓の機能を補う医療としては、透析の他に腎移植があります。腎移植は、健康な腎臓を移植することで、失われた腎臓の機能を回復させる治療法です。

これにより透析から解放され、より健康に近い生活を送ることが可能です。腎移植には、ご家族などから腎臓を提供してもらう「生体腎移植」と、亡くなった方から腎臓を提供してもらう「献腎移植」があります。

腎移植は透析よりも長期的な予後が良いとされていますが、手術が必要であり、術後も拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤を一生飲み続ける必要があるなど、安全な移植手術や術後の管理において考慮すべき点もあります。腎移植が可能かどうかは、年齢や全身状態、基礎疾患などから総合的に判断されます。

透析を忌避する選択

病状や患者さんの価値観によっては、透析を選択しないこともあります。主に、高齢で他の重い病気を抱えている場合や、患者さん自身が透析による身体的・精神的な負担を望まない場合などに選ばれます。

透析を選択しない場合、体内に老廃物や水分が溜まっていき、様々な症状が現れます。この場合、症状を和らげ、最期まで穏やかに過ごせるようにするための緩和ケアが重要です。緩和ケアでは痛み・吐き気・息苦しさなどの症状をコントロールし、患者さんのQOL(生活の質)を維持することに重点が置かれます。

透析を選択するかしないかは、患者さんご本人の意思、ご家族の意向、医師の専門的な判断など、様々な要素を慎重に考慮して決めるとよいでしょう。

透析患者が長生きするためにできること

透析の効果を最大限に引き出し、合併症を予防し、健康状態を良好に保つためには、患者さん自身の積極的な取り組みが非常に重要になります。長生きするためには、以下の点に注意して日々の生活を送ることが大切です。

項目内容
指示された透析スケジュールを守る定められた頻度と時間で透析を受けることは、体内の老廃物や余分な水分を適切に除去するために最も重要です。透析をサボったり、時間を短くしたりすると、体調が悪化し、合併症のリスクが高まります。
食事療法と水分制限を守る腎臓の機能が低下しているため、食事からのカリウム、リン、ナトリウム(塩分)の摂取量や、水分の摂取量には制限が必要です。管理栄養士の指導のもと、適切な食事療法を実践することが、体への負担を減らし、透析の効果を高めることに繋がります。特に水分制限は、透析間の体重増加を抑え、心臓への負担を軽減するために非常に重要です。
処方された薬を正しく服用する透析患者さんは、血圧を下げる薬、貧血を改善する薬、リン吸着薬など、多くの薬を服用する必要があります。これらの薬は、合併症を予防したり、症状を緩和したりするために不可欠です。医師や薬剤師の指示通りに、正しく服用することが大切です。
適度な運動を取り入れる体調に合わせて適度な運動を行うことは、筋力を維持し、心肺機能を高め、生活習慣病を予防する上で有効です。ただし、シャント側の腕に負担をかけないなど、注意点もありますので、必ず医師や理学療法士に相談してから始めましょう。
シャントやカテーテルの管理を適切に行う血液透析のシャント血管や腹膜透析のカテーテルは、非常に重要な透析用のアクセスです。感染や閉塞を防ぐために、清潔に保ち、異常がないか日々観察することが重要です。
定期的な通院と検査を受ける定期的に血液検査や画像検査などを受けることで、体の状態や透析の効果、合併症の兆候などを早期に把握することができます。気になる症状があれば、遠慮なく医師や看護師に相談しましょう。
禁煙喫煙は血管を傷つけ、心血管系の合併症のリスクを大幅に高めます。透析患者さんにとって、禁煙は寿命を延ばすために非常に重要な要素です。
ストレスを溜め込まない精神的なストレスは体の状態にも影響を与えます。趣味やリラクゼーションなどでストレスを上手に解消することも大切です。

これらの自己管理を徹底することで、透析患者さんは合併症のリスクを減らし、体調を安定させ、より長く活動的な生活を送ることが期待できます。

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腎不全について

次は腎不全について理解するために役立つ、以下の情報を解説します。

  • 腎臓の構造
  • 腎臓の機能
  • 腎不全の原因
  • 腎不全の症状
  • 末期腎不全の最後はどのような状態?
  • 透析しない場合における腎不全の余命
  • 腎不全の余命は透析した場合どうなるのか

透析が必要となる主な原因である腎不全について、その基本的な知識を深めていきましょう。

腎臓の構造

腎臓は、お腹の後ろ側、腰のあたりに左右対称に2つあるソラマメのような形をした臓器です。大きさは握りこぶし大ほどで、重さは1個あたり約120~150gです。

腎臓の内部は、皮質・髄質・腎盂(じんう)に分けられます。腎臓には「ネフロン」と呼ばれる尿の産生をつかさどる基本構造が、1つの腎臓に約100万個存在します。そしてネフロンは、血液をろ過する「糸球体」と、必要な物質を再吸収し、不要な物質を尿として排出する「尿細管」から構成されています。ろ過された尿は、腎盂に集められ、尿管を通って膀胱に送られ、尿道から体外に排出されます。

腎臓の機能

腎臓は、主に以下の重要な機能を担っています。

機能内容
老廃物の排泄血液中の尿素、クレアチニン、尿酸などの老廃物をろ過し、尿として体外に排出します。
水分量の調節体内の体液量に応じて、体に必要な水分は再吸収し、余分な水分を尿として排泄することで、体内の水分バランスを一定に保ちます。
電解質バランスの調節ナトリウム、カリウム、リン、カルシウムなどの電解質の濃度を調節し、体内のバランスを保ちます。
血圧の調節血圧を調節するホルモン(レニンなど)を分泌したり、体内の水分やナトリウム量を調節したりすることで、血圧のコントロールに関与します。
造血の促進赤血球を作るためのホルモン(エリスロポエチン)を分泌し、貧血を防ぎます。
ビタミンDの活性化骨を丈夫にするために必要なビタミンDを活性化させます。
体内の酸・塩基平衡の維持血液のpH(酸性度)を一定に保つために、酸性物質やアルカリ性物質の排泄・再吸収を調節します。

これらの機能が正常に働くことで、私たちの体は健康な状態を保つことができます。

腎不全の原因

腎不全の原因は多岐にわたりますが、慢性腎不全の主な原因となるのは以下の病気です。

原因内容
糖尿病性腎症糖尿病によって腎臓の血管が傷つけられ、腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。日本で比較的多いとされる腎不全の原因です。
慢性糸球体腎炎腎臓の糸球体に炎症が繰り返し起こり、腎臓の機能が低下していく病気の総称です。
高血圧性腎硬化症長期間にわたる高血圧によって、腎臓の血管や組織が硬くなり、機能が低下していく病気です。
多発性嚢胞腎腎臓に多数の嚢胞(水の袋)ができ、腎臓の組織を圧迫して機能を低下させていく遺伝性の病気です。
その他薬剤性の腎障害、尿路結石や前立腺肥大などによる尿路の閉塞、膠原病などが原因となることもあります。

これらの原因疾患を適切に管理することが、腎不全の進行を遅らせる上で重要です。

腎不全の症状

腎臓の機能が徐々に低下していく慢性腎不全は、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが特徴です。病状が進行し、腎臓の機能がかなり失われてから、様々な症状が現れてきます。

腎不全の主な症状には以下のようなものがあります。

症状内容
むくみ(浮腫)体内の余分な水分や塩分が排泄されずに溜まることで、まぶた、顔、足などに現れます。
倦怠感・疲労感老廃物が体内に溜まることや、貧血によって引き起こされます。
食欲不振・吐き気老廃物が消化器系に影響を与えることで起こります。
息切れ・呼吸困難体液の貯留による肺水腫や、貧血によって起こります。
夜間の頻尿腎臓の濃縮力が低下し、夜間に多くの尿が作られることで起こります。
貧血エリスロポエチンの分泌が減少し、赤血球が十分に作られなくなることで起こります。
かゆみ体内に溜まった老廃物が皮膚に影響を与えることで起こります。
骨が弱くなるビタミンDの活性化障害やリン・カルシウムバランスの異常によって起こります。
高血圧水分・塩分の貯留や血圧調節機能の異常によって起こります。
意識障害・けいれん病状が非常に進行し、尿毒症が重度になった場合に起こることがあります。

これらの症状は、他の病気でも見られることがあるため、症状だけで腎不全と判断することは難しいです。健康診断などで腎機能の低下を指摘された場合は、早期に医療機関を受診することが重要です。

末期腎不全の最後はどのような状態?

末期腎不全とは、腎臓の機能が健康な人の10%以下にまで低下し、透析や腎移植なしでは生命を維持することが困難になった状態を指します。

末期腎不全がさらに進行し、透析などの治療を行わない場合、体内に老廃物や余分な水分が急速に蓄積します。これにより、以下のような症状が現れ、命に関わる状態となります。

  • 重度のむくみ: 全身に水分が溜まり、呼吸困難を引き起こすことがあります(肺水腫)。
  • 尿毒症症状の悪化: 吐き気、嘔吐、食欲不振が強くなり、意識障害(尿毒症性脳症)やけいれんが現れることがあります。
  • 高カリウム血症: カリウムが体外に排出されず高値になり、致死的な不整脈を引き起こす可能性があります。
  • アシドーシス: 体が酸性に傾き、呼吸が速くなったり、意識レベルが低下したりします。

これらの症状が進行すると、最終的には心停止や呼吸停止に至ります。透析は、このような末期腎不全の進行を食い止め、生命を維持するために不可欠な治療です。

透析しない場合における腎不全の余命

透析を開始せずに末期腎不全が進行した場合、一般的には数週間から数ヶ月程度の余命となることが多いとされています。これは、腎臓の機能がほとんど失われているため、生命維持に必要な体内の環境を保てなくなるためです。

ただし腎臓の機能が完全にゼロになるわけではなく、残存機能や全身状態、合併症の有無などによって個人差があります。緩和ケアを行いながら、症状を和らげ、穏やかな時間を過ごすことを選択される方もいます。

腎不全の余命は透析した場合どうなるのか

透析をすると末期腎不全による差し迫った生命の危機を回避し、余命を延ばせます。若い年齢で透析を開始し、合併症が少ない場合は、20年以上生存される方も少なくありません。一方で、高齢で複数の重い合併症を抱えている場合は、長期の透析が望めない事もあります。

透析を開始した場合の平均余命は、透析導入時の年齢・基礎疾患・合併症の程度・自己管理の状況など、多くの要因によって異なります。

重要なのは、透析は腎臓の機能を完全に代替するものではなく、あくまで腎臓の働きの一部を補う治療であるという点です。そのため、透析を続けていても、腎不全以外の病気や透析に関連する合併症によって寿命が影響されることがあります。しかし、透析を適切に行い、合併症を予防・管理することで、より長く、より質の高い生活を送ることが可能です。

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透析の合併症

透析は命を救う治療ですが、合併症のリスクがあるため、どのような点に注意すればよいのか見ていきましょう。

まず、透析に関連する主な合併症として、重症化する可能性のある2つの代表的な病態(心血管病と感染症)に注意が必要であること、そしてそれらを予防・管理する方法について以下に解説します。

寿命を延ばすための心血管系ケア

寿命を延ばすためには、心血管系の健康を保つことが非常に重要です。具体的には、以下の点に注意が必要です。

項目内容
適切な水分・塩分管理透析間の急激な体重増加は心臓に大きな負担をかけます。指示された水分・塩分制限を守り、透析間の体重増加を目標値内に抑えることが重要です。
血圧コントロール高血圧は心血管病のリスクを高めます。医師の指示に従い、適切に血圧をコントロールすることが大切です。
貧血の改善貧血は心臓に負担をかけます。エリスロポエチン製剤や鉄剤などで適切に治療することが重要です。
リン・カルシウムバランスの管理リンやカルシウムのバランスが崩れると、血管の石灰化(動脈硬化)を進行させ、心血管病のリスクを高めます。食事制限やリン吸着薬で適切に管理します。
定期的な心臓や血管系の検査定期的に心電図、心臓超音波検査、下肢動脈硬化の検査などを受け、心臓や血管系の状態を確認することが早期発見・早期治療に繋がります。

透析患者さんの死亡原因の中でも、心血管系の合併症(心筋梗塞・心不全・脳卒中・下肢動脈閉塞症など)が多いです。腎不全そのものが心臓や血管に負担をかけることに加え、透析による急激な体液量の変化や電解質の変動なども心臓に影響を与える点も把握しておきましょう。

感染の合併に注意すること

近年増加傾向である感染症とその重症化を防ぐためには、以下の点に注意が必要です。

  • アクセス血管の清潔保持: シャントやカテーテル周囲を常に清潔に保ち、異常(赤み、腫れ、痛み、発熱など)がないか日々観察します。
  • 手洗い・うがい: 外出後や食事前など、こまめな手洗いとうがいを心がけましょう。
  • 予防接種: インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種を受けることが推奨されます。
  • 体調管理: 十分な睡眠や栄養を摂り、体の免疫力を維持することが大切です。
  • 早期受診: 発熱や咳などの症状が現れた場合は、軽度であっても早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重症化を防ぎます。

透析患者さんは、健常な方と比べて免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向にあります。特に血液透析のシャントや腹膜透析のカテーテルといった透析のためのアクセス血管や体内に留置された人工物は、感染源となりやすいです。

その他の透析の合併症の予防法

主な予防法としては、以下が挙げられます。

項目内容
適切な透析の実施医師の指示通りの頻度と時間で透析を受け、十分に老廃物や水分を除去することが、多くの合併症予防の基本となります。
食事・水分管理カリウム、リン、塩分、水分の制限を守ることは、上記の心血管系合併症だけでなく、骨病変などの予防に繋がります。
適切な薬剤の使用医師の指示に従い、血圧降下薬、貧血治療薬、リン吸着薬などを正しく服用します。
定期的な検査と早期発見血液検査や画像検査などを定期的に受け、合併症の兆候を早期に発見し、治療を開始することが重要です。
運動療法体力維持や心肺機能の向上は、合併症のリスクを減らします。
禁煙・節酒生活習慣の改善は、全身状態を良好に保ち、合併症のリスクを低減させます。

透析の合併症は多岐にわたりますが、患者さん自身が病気について学び、積極的に自己管理に取り組み、医療スタッフと密に連携することで、そのリスクを減らし、健康寿命を延ばすことが可能です。

まとめ

透析導入後の平均余命は、健常な方と比較すると短い傾向にありますが、これは透析そのものによるものではなく、腎不全に至る原因疾患や、透析に関連する合併症の影響と考えられます。

透析は、失われた腎臓の機能を人工的に補い、体内の環境を整えることで、命を繋ぎ、余命を延ばすための治療法です。患者さんやご家族にとって負担になることもありますが、医療の進歩により、多くの患者さんが透析を受けながら社会生活を送り、充実した人生を送っています。病気について正しく理解し、医療スタッフと密に連携しながら、自身に合った方法で治療に取り組むことで、より良い未来につなげましょう。

監修医師

戸田中央総合病院
腎センター長 兼 腎臓内科部長

井野 純先生

  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
  • 日本透析医学会専門医・指導医
  • 日本腎臓学会専門医・指導医
  • 日本腎臓リハビリテーション学会腎臓リハビリテーション指導士
  • 日本腎代替療法医療専門職推進委員会腎代替療法専門指導士
  • 多発性嚢胞腎協会PKD認定医
  • 医学博士

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※記事に関する個別のご質問には応じておりません。恐れ入りますが、ご了承ください。

※当記事の記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねます。ご了承ください。